モラル・ハラスメントセミナー

9月13日の夜に「モラル・ハラスメント講座-見えにくい心理的な嫌がらせにきづく-」が新大阪近くの会場で開催されました。平日の夜、しかも雨の中を30人近くの方が参加。モラル・ハラスメント被害の深刻さを改めて感じました。
講師は「大阪心のサポートセンター」の心理カウンセラー・田中妙子さん。主に夫婦間での、でも時折職場での事例も含みながらのモラルハラスメントの実態と、被害から身を守る方法についてのお話でした。
夫にお茶を入れると「こんな熱いお茶、飲めるか!」と言われ、翌日冷たいお茶を出すと「こんな冷たいお茶、飲めるか!」と言われる。どのようなお茶が良いかと尋ねると「そんな事もわからないのか!ダメな奴だ!」と罵られる・・・まさにダブルバインド(二重規範)の実例が詳しく話されました。
職場でもよく似たことが起こります。わからない事を上司に尋ねると「そんな事は自分で考えろ!」と言われ、自分で考えて仕事をすると、「勝手な事をするな!」と怒鳴られる・・・何をしても、どちらの方法をとっても、怒鳴られ、罵られ、そして被害者はどんどん自信を失い、自分自身を否定をするようになってしまいます。まさに、職権を濫用したハラスメント「パワー・ハラスメント」といえます。
さらに加害者は、被害者自身に能力がない、自分こそが被害者である、と周囲の人をも操作して、被害者を孤立させ、精神的に追い詰めていきます。まさに狡猾と言わざるを得ないような手法です。
殴られたり、蹴られたりといった身体的暴力を受けたわけではないのですが、精神的にどんどん追い詰められる、まさに人権侵害が起こります。
では、どうしたら被害から身を守ることができるのでしょうか。
それは、「自己尊重感情をとりもどすこと」と田中妙子さん。「相手の怒りを全て自分が引き受けずに、自分の身を守るためにエネルギーを使う」「あるがままの自分を受け入れ、自尊感情を高めることが大切」とのメッセージを伝えてくださいました。

子どもをサイバー犯罪から守るために

8月22日の朝日新聞で「小学生のブロガー増加」との記事が掲載されました。小学生・中学生の間でインターネットを使った情報の受発信が急増しています。そしてその陰でサイバー犯罪も4年間で2倍に増えているのが現状です。
例えば子どもが「ハサミ」を使い始める時。私たち大人はハサミの使い方を正しく教えると共に、その危険性もきちんと指導します。使い始めの頃は、子どものそばで見守ったりすることもあるでしょう。とても便利な道具でも、振り回したり、投げたりしてはとても危険だということ、人に渡すときには持ち手の方を相手に向けるなど周囲の人に対して気をつけること、もちろん、自分自身がケガをしないように気をつけることなどをきちんと指導します。
では、IT(パソコン)の使い方はどうでしょうか。「アダルトサイトは見たらダメ」「勝手に買い物しないでね」と言った、極簡単で、あいまいな言葉だけで使わせてしまっていないでしょうか。何が危険なサイトで、どうしたら回避できるのか、また自分のどのような言動が周囲の人を傷つけてしまうのか、といった具体的な事柄をきちんと子どもに指導することが大切です。もちろん、そのためには私たち大人が正しい知識を身につけることが必要です。
アトリエエムの9月16日のITセミナーのテーマは「子どもをサイバー犯罪から守るために」。マナーとルール、セキュリティ、そして、メディア・リテラシーについて学びます。ぜひご参加ください。また9月9日のITセミナー「インターネットの原理」では、「ウィニー」「フィッシング」などに対するセキュリティ対策がテーマです。こちらもお勧めのセミナーです。「ITセミナー」のページへ>>

モラル・ハラスメント

毎月発行の雑誌『論座』9月号(8月5日発売)に「モラル・ハラスメント」に関する記事が掲載されています。3月5日のブログでもご紹介した、フランスの精神科医・マリ=フランス・イルゴイエンヌさんの講演会の要旨です。彼女はモラル・ハラスメントの指標となる「敵意ある言動」を四つのカテゴリーに分類しています。
1)コミュニケーションを拒否して相手を孤立させ、「一人の人間を透明人間であるかのように感じさせるような言動」
2)仕事に必要な情報を与えない、コンピュータを使えなくするといった「仕事に関して相手を傷つける言動」
3)噂や中傷を流すといった「相手の尊厳を傷つける言動」
4)「言葉による暴力、肉体的な暴力、性的な暴力」
これらの行為が、「職場」という組織内で権力を持つ者(上司)から持たない者(部下)に対して起こった時、まさにそれが「パワー・ハラスメント」といわれるものにもなります。
現在、これらの言動に対する訴訟や労災申請が数多く行われていますが、必ずしも被害者の人権の視点立った判断が下されているとはいえないのが、悲しい現実です。
その事に関して同雑誌で弁護士の川人博さんは次のように述べています。
「日本では経営者だけでなく、厚生労働省や裁判所も、このハラスメントに対する理解がまだまだ不十分であると思う。その結果、多くの人が職場のハラスメントによって傷つき、健康を害し、死に至るケースも少なくない。イルゴイエンヌ氏の講演を学んで、ぜひ日本でも欧州やカナダのように、このハラスメントに対する立法的な規制を実現するような取り組みを強めていきたいと考えている。」
私も全く同感です。最終的には、ハラスメントに対する法制化が必要であると思いますし、同時に、まずは、ハラスメントを起こさないための「予防セミナー」に今後も取り組んでいきたいと思っています。

「従業員に暴言 社長にパワハラ認定」

「消費者金融会社「レタスカード」(京都市中京区)の従業員だった兵庫県西宮市の男性(45)が、社長にたばこの火を押しつけられるなどし、うつ病になったとして、同社に約6200万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が8日、京都地裁であった。田中義則裁判官は「社長の言動は不法行為にあたる」として、訴えの一部を認め、同社に670万円の支払いを命じた。」という記事が、9日の京都新聞と毎日新聞で報じられました。
見出しには「従業員に暴言、たばこ押しつけ 京都地裁 社長のパワハラ認定」「社長パワハラ賠償命令 罵詈雑言、うつ病慢性化」との文章。社長から頻繁に暴言を受け、タバコの火まで押し付けられるという、なんともひどい人権侵害が起こっていたようです。
原告の弁護士は「(職場での上下関係を背景に上司が部下に嫌がらせする)パワーハラスメントを認めた例はまれで、その意味では評価できる」としている」とコメントしているものの、会社側は、そのようなハラスメント行為を否定、控訴するとのこと。今後の行方をしっかりとみていきたいと思います。

会社名が「アトリエエム株式会社」になりました。

アトリエエムは、「有限会社アトリエエム」から「アトリエエム株式会社」に商号変更いたしました。皆様に「秋のITセミナー」「パワー・ハラスメント予防セミナー」のチラシをご挨拶状とともにお送りしておりますので、ぜひご覧ください。当方の手違い等で、もしお手元に届いていない場合は、お手数をおかけしますが、その旨ご連絡いただけますでしょうか。すぐにお送りいたします。
 
定款の事業目的も若干増やしました。企業理念に沿ってより幅広く事業を展開していきたいと思います。皆様の変わらずのご支援、ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申しあげます。
なお、住所、電話番号、url等は変更ありません。

基地問題と女性の人権

 アメリカ兵からレイプを受けたサバイバーのお話を大阪外国語大学で聴く機会がありました。これは「アジア現代女性史研究会(代表藤目ゆき)」や女性学との共催で、「基地問題と女性の人権-沖縄からの発言-」と題した公開講演会でした。学生以外にも門戸が開かれていたので、聴講させていただいたものです。
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 1984年、当時17歳だった富田由実(仮名)さんは、学校帰りにアメリカ兵から「I can kill you」とナイフをつきつけられ、公園で3人のアメリカ兵から屈辱的な暴行を受けました。「殺すぞ」ではなく「殺せるぞ」と彼らは言ったのです。ものすごい恐怖を受けて、解放された後も何度も彼女は自殺未遂を繰り返しました。不眠症や自立神経失調症に苦しみながら、でも警察に訴えることはしませんでした。訴えることにってさらに受ける二次被害と社会からの偏見を恐れたからです。暴行を受けたのは自分が悪かったのではないかと自分自身を責めたり、自暴自棄になったり、フラッシュバックに襲われたり、本土と沖縄を行ったり来たりと苦しい生活を続けていました。
ところが、1995年9月、またもや沖縄で小学生の少女への暴行事件が起こりました。富田さんはこの事件を知り、自分が被害を受けた時よりも嘆き悲しみ、苦しみました。そして今まで何も行動を起こしてこなかった自分自身を又もや責め続けました。そしてこれ以上、被害者を出さないためにと、反戦運動に関わるようになりました。
沖縄は「基地に対する被害者」という側面を持っているけれど、一方で、基地があるということで、アメリカが今まで起こしてきた戦争を担わされた加害者でもある。だからこそ、自分たちの責任を痛感し、反省の意味を込めて沖縄から自衛隊を含めた基地を無くして本当の「平和の発信地」にすることが大切だ、とのメッセージを私たちに届けてくれました。

改正雇用均等法が成立

6月15日(木)に「改正男女雇用機会均等法」が衆院本会議で可決、成立しました。来年4月施行です。
改正のポイントの一つに、セクシュアル・ハラスメント防止策が「企業の配慮義務」から「企業が措置をとる義務」へと強化されました。また女性に限ってきた性差別を「男性でも禁じる」ことにより、男性へのセクハラ防止も義務付けられることになります。この「男性へのセクハラ」というのは、一見わかりにくいようですが、実は窓口での相談も最近増えてきています。男性から男性への性的なからかいや嫌がらせという問題が顕在化してきています。

もう一つの大きなポイントは「間接差別の禁止」です。一見性別とかかわりなく見える基準が、結果的に一方の性に不利益になるものです。改正法では三つ(①募集・採用時の身長・体重・体力要件②総合職採用時の全国転勤要件③昇進時の転勤経験要件)の禁止を挙げる「限定列挙」方式をとっていますが、これに関しては、「三つ以外は問題なしとされる恐れがある」ということで、多くの市民が国会でのロビーイングなど、随分と色々な運動や申し入れなどをしてきました。その結果、不十分ながらも附帯決議で「他の差別も司法判断で違法となりうることを周知する」「施行後5年を待たず、(法律の)見直しを図る」ことが盛り込まれました。
何とかこの法律を足がかりに差別是正を実効あるものにしていきたいと切に願います。

博士の愛した数式

遅ればせながら小川洋子の『博士の愛した数式』(2003年)を読みました。
学生の頃から数学は大の苦手だっただけに「数字と向き合う」なんてことは全くなく、ましてや数字を「美しい」と感じたことなんてあるはずもなく、という人生でしたが、もしかしたら随分ともったいないことをしていたのかも、と思ったりしました。
その時その時に、自分にとって大切な人との心からの触れ合いが、記憶が80分しかないということさえも乗り越えさせてくれるのだと感じる、とても心暖まるストーリーでした。
ただ、映画化されてから読んだので、博士がどうしても寺尾聡の博士しか頭に思い描けず、自分なりの博士像を作れなかったのが、ちょっと残念ではありましたが。
でももうすぐDVDも発売されるし、ぜひ映画も見てみようと思います。

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均等月間と間接差別

6月は「男女雇用機会均等月間」です。これは1985年6月1日に男女雇用機会均等法が公布されたのを機に制定されたもので、今年で21回目を迎えます。その間、1999年の改正では、「セクシュアル・ハラスメント防止は事業主の雇用管理上の配慮義務」と定められました。
今まさに国会ではこの均等法の改定について議論されています。その焦点のひとつが「間接差別の禁止」です。「間接差別」とは、形式的には、性に中立であっても、運用した結果一方の性に不利となる制度や規定のことです。予定では15日(木)に衆議院での採決を迎えますが、審議の行方をしっかりと見ていきたいと思います。

メディア・リテラシー

27日の「アトリエエムのITセミナー」のテーマは「生活に密着した情報検索」でした。ITの世界のみならず、私たちのまわりには、本当に膨大な量の「情報」があふれています。が、今、自分が探している情報、本当に必要な情報をすばやく入手することは、簡単そうで、意外と難しいものです。

しかも、ようやく見つけだした情報が本当に正確なものなのかどうかを見抜く力も必要とされます。ITだけでなく、テレビや新聞、書籍なども含めての「メディア・リテラシー」の力をつけることが大切ですよね。同じ事象でも、テレビ局や新聞社によって、全く正反対の見解が述べられていることはままあることですから。メディアのかたよった伝え方にいたずらに惑わされずに、しっかりと自分自身でも考えたいなと思います。

情報に関して最近読んだお勧めの本が2冊あります。

一冊は「グーグル明解検索術」。これはまさしくWEBでの便利な検索方法のあれこれの紹介。

もう一冊は、「自分で調べる技術」。こちらは、メディア・リテラシーのこともしっかりと書かれていて、「調査」の醍醐味をちょっぴり味わわせてくれる本でした。

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