4月6日に厚生労働省が各都道府県の労働局長宛に通達を出しました。
3月24日のブログでもお伝えをした「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の一部改正についてです。
厚生労働省のHPはこちら>>
12項目を新たに追加、現行の7項目について心理的負荷の強度を修正しています。
「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」を新規に追加、強度を3としています。まさしくこれがパワー・ハラスメントに当たります。
このように一定の評価ができる項目はあるものの、残念ながら見直しが据え置かれたものもあります。
それが「セクシュアルハラスメントを受けた」のが2というものです。
パワー・ハラスメント同様、セクシュアルハラスメントも深刻な人権侵害であり、決して見過ごされるべきものではありません。
2007年に男女雇用機会均等法が改正されたとはいえ、あちこちの事業所で今なおセクハラが起こっています。
被害者の多くが重いPTSDに悩んだり、うつ病などの精神障害等になったり、退職せざるを得ないような状況に追い込まれています。
今回の見直しでは、この項目も実態に即して、3という強度にするべきにも関わらず、据え置かれてしまいました。
セクハラ行為と被害の深刻さが社会ではまだ十分に認識されていない、というのが現状なのです。
特にセクシュアルハラスメントの場合は、被害者が上司や相談窓口に相談をしたことによって、その後より酷いパワー・ハラスメントを受ける、ということがまだまだ多く見受けられます。
相談担当者からの二次被害、上司を始め周囲の人たちからの無視や嫌がらせ、そして被害者の雇用契約を打ち切ったり、自ら退職するように仕向けるなど。
それが訴訟などになることも多いのです。
パワハラもセクハラももちろん、起こさない、起こさせないのが一番大切ですが、万一発生した場合、その後の組織の対応が大きく問われます。
相談窓口を設置するだけでなく、相談担当者のきちんとした研修が非常に大切になるのです。
アトリエエムでは、10月に大阪市内で「ハラスメント相談窓口担当者」を対象としたセミナーを実施します。
詳細はお問い合わせください。
政治的課題としてのハラスメント防止セミナー
桜の便りと共に新年度がスタートしました。
アトリエエムが昨年製作したDVD『パワー・ハラスメント そのときあなたは・・・』は120枚以上をご購入いただきました。
(DVDの詳細はこちらをご覧ください>>)
また、ハラスメントのセミナー(人材研修)も2008年度中に、約120回実施させていただきました。
DVDのご購入先は、図書館、男女共同参画センター、人権センター、自治体、そして民間企業と多岐にわたっています。
企業の業種も製造業、サービス業など様々です。また、各支店で活用するため、複数枚ご購入いただいた企業もありました。
セミナー(人材研修)も同様に様々な業種や規模の事業所からお申し込みをいただきました。
まさしく今、ハラスメント対策は社会的な問題であり、事業所にとっても喫緊に取り組むべき課題であることを痛感した1年でした。
折しもパワー・ハラスメント防止指針(通達も含む)が岩手県、富山県、兵庫県、和歌山県、大分県、熊本県、佐賀県の7つの県で制定され、厚生労働省も労災認定の基準となる「職場における心理的負荷評価表」を4月から修正します。
少しずつではありますが、パワー・ハラスメントの防止対策を講ずる機関が増えてきています。
今後はさらに、国や自治体において、法律や条例の整備が求められるところです。
そのような状況を鑑みて、アトリエエムでは、政治的課題としてのハラスメント防止の取り組みを考えるセミナーを4月14日に実施いたします。
(詳細はこちらをご覧ください>>)
その後も、6月には福岡県でのセミナー、10月には相談窓口担当者を対象としたセミナーなど、ハラスメント防止に向けてのより実効的なセミナーを実施していきます。
当社のセミナーを皆様の事業所のハラスメント防止対策にぜひともお役立ていただければと思います。
さらに、4月から当社にも新しいスタッフが加わります。今まで以上により迅速に皆様に情報をお伝えしていく体制をつくっていきたいと思います。
今年度も引き続き皆様のご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申しあげます。
精神労災基準にパワハラを追加
厚生労働省は3月19日、仕事を原因とするうつ病などの精神疾患や自殺の労災認定基準を10年ぶりに見直すことを決めました。
ストレスの強さを客観的に評価する「心理的負荷評価表」の項目を31から43に増やし、最も強いストレスの例としてパワー・ハラスメントを新たに追加しています。
この評価表は、各項目毎にストレスの負荷を3段階で判定しているものです。(1が軽度、2が中度、3が強度)
ハラスメントなどの対人関係のトラブルにおいては、具体的には、現行では「セクシュアルハラスメントを受けた」「上司とのトラブルがあった」が2、「部下とのトラブルがあった」「同僚とのトラブルがあった」が1となっています。
これを「部下とのトラブルがあった」を2に変更、さらに追加項目として「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」を3としています。
まさしくこれがパワー・ハラスメントにあたります。他にも「違法行為を強要された(2)」「複数名で担当していた業務を一人で担当するようになった(2)」等が新たに追加となっています。
2007年の秋に、上司からパワー・ハラスメントを受けて、うつ病になり自殺をした事が「労災」である、との判決が裁判所で相次いで出されました。
それを受けて、2008年2月には厚生労働省が通達を出しています。そこには「ひどいいじめと認められる場合は、心理的負荷の強度が3に該当するものである」と明記されています。
その後、2008年12月から心理的負荷評価表を見直す検討会を3回にわたって開催、検証・検討を行った結果、今回の見直しとなったわけです。
今回の見直しにおいても、評価する出来事を発症前6か月に限定している点は変更されないなど、不十分な点はまだまだありますが、現行よりは一歩すすんだ内容になっているとは思います。
ただ、一番大切なこと、それはいくら「労災」と認定されたとしても、失われた命はもう戻ってはこない、という事です。
職場で決してパワー・ハラスメントを起こさせない、そしてもし発生してしまった場合には、迅速で適切な対応が求められる、というのは言うまでもありません。
未然の予防として、ぜひアトリエエムのパワー・ハラスメントセミナーやDVDをご活用いただきたいと思います。
なお、新評価表は、近日中に厚生労働省のHPにもアップされるそうです。また、FAXで送ってもらうこともできます。
現行の評価表がアップされている厚生労働省のサイトはこちら>>
この件を報じているサイトはこちら
asahi.com>>
mainichi.jp>>
nikkei.net>>
57分45秒
57分45秒。快晴の3月15日「ABC万国博マラソン大会2009」の10キロのレースに参加しました。
記録はちょっと不本意ながらも(55分を切りたかった!)たくさんのランナーたちと共に気持ちの良い汗をかきました。
約10年ぶりにジョギングを再開したのが、去年の秋。それから「ユニセフカップ 2008西宮国際ハーフマラソン」「2008吹田万博国際ふれあいマラソン」「ユニセフカップ 2009神戸バレンタイン・ラブラン」そして今回の万博と、いずれも10キロのレースに参加してきました。
長いブランクがあったので、走り続けることができるだろうか、と当初は体力的にも、気力的にもとても不安がありました。練習を億劫に感じてしまうこともしばしば。特に冬の寒い日などは「もう今日はジョギングを休もうかな」と思ったのも一度や二度ではありません。
そういう時に限って、ジョギング仲間からメールが入ってくるのです。「今、走っていい汗かいてきました。三木さんも頑張っていますか」と。
それを読んで「私も頑張らなくちゃ!」と慌てて飛び出していきます。
一人だったら挫折していたかも、と思ったことも何度かありました。
仲間がいる、というのは本当に励まされるものです。一緒に頑張れる仲間がいる、頑張っている自分を認めてくれている、というのは大きなエネルギーとなります。
ハラスメントを受けた時も同じです。自分を認めてくれる人がいる、というのは失われた自尊心を回復させてくれます。
しんどい時、辛い時は、一人で抱え込まずに、まずは誰かに今の気持ちをそのまま話してみてください。
すぐに解決に結びつかなくても、元気を取り戻して解決の糸口が見えてくることにつながります。
もちろん、身近にご相談できる人がいれば一番良いのですが、それが難しい時には、遠慮なくアトリエエムにもご相談ください。
「仕事に必要な情報を与えない」ことはパワー・ハラスメント
最近は大阪のみならず、各地の企業や自治体からのセミナー依頼も随分増えてきました。今年になってからも、大分、鳥取、愛知、兵庫、広島等にお伺いしました。
その折には、いつも多くの方たちとお話をさせていただきますが、どの地域でもハラスメントへの関心の高さが伺えます。
と、同時に「ハラスメントに関する情報があまり入ってこない」というお声もよく聞きます。
アトリエエムでは、国内の各地での状況や裁判の判例のみならず、海外での法制化や国際会議などの動きも含めて、セミナーやHPでも皆様にお伝えしています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
「情報」というのは非常に大切なものです。職場においても、「仕事を遂行するうえで必要な情報を与えない」というのはまさしくパワー・ハラスメントです。
折しも3月3日の朝日新聞の広島版には「パワハラ 企業の損失」との見出しで、秋山千佳記者がアトリエエムと三木を詳しくご紹介してくださっています。
インターネットでも配信されていますので、多くの方に見ていただいて、ハラスメント防止への取り組みに役立てていただけたらと思います。
新聞記事はこちらをご覧ください>>
また「アサヒコム」→「マイタウン」→「広島」→「ピックアップ」あるいは「ニュース一覧」 でもみる事ができます。
パワー・ハラスメント防止指針
兵庫県は2月16日に「パワー・ハラスメントの防止に向けた取扱指針」を制定しました。
これは、「パワー・ハラスメントの防止に向けた取り組みを定めることにより、働きやすい良好な執務環境づくりを促進すること」目的として定めています。
「パワー・ハラスメントの判断の基準及び言動例」を具体的に列挙し、「所属長の責務」「職員が取り組むべき事項」さらには「苦情・相談への対応」そして「懲戒処分」等を明記しています。
大分県でも同様に「ハラスメント防止要綱」が2月6日から施行されています。
また、兵庫県西宮市のよつや薫議員は、「職場におけるパワー・ハラスメントについて」の一般質問を3月議会で行いました。
三木が常々セミナーでも皆様にお伝えしてきていることですが、各事業所における防止指針(ガイドライン)の作成、そして自治体における条例制定に向けて、今ようやく動き始めた、という感があります。
このような取り組みを各地で、そして民間企業でも推し進めていくためにも、アトリエエムは今まで同様、指針作成、窓口設置、条例制定に向けた事業の具体的なお手伝いをしていきたいと思っています。
指針や外部窓口の設置をご検討をされている事業所はどうぞいつでもアトリエエムにお問い合わせください。
また、4月14日には「政治的課題としてのハラスメント防止対策」を考える特別セミナーも実施いたします。
参加対象を「市町村議会議員」としていますが、ご関心のある方はどなたでもご参加いただけます。
お申し込みを受付中です。
詳細はアトリエエムのHPをご覧ください。HPへ>>
相談体制の確立
大阪府立高津高校の教職員10人が、府初の民間人元校長からパワー・ハラスメントなどを受けたとして、大阪弁護士会に人権救済を申し立てていました。
同会は府教育委員会に対して、苦情に対応できる相談体制の確立を求める勧告書を昨年12月26日に出しました。(1月14日報道)
同会では次のように勧告しています。
「元校長は『私の気にくわないことを言うなら、今すぐ異動希望を出せ』と怒鳴ったり、教諭に筆立てをなげつけたり、学年主任を指導する際に、机上のガラスをたたくなどのパワー・ハラスメントによって、教職員に精神的苦痛を与えた。さらには、府教委は、教職員から相談を受け問題を認識しながらも対策を講じることなく放置していた。教職員や児童生徒の苦情に対応できる相談体制の確立や第三者機関を設置し、人権侵害の発生を防止する体制を確立すべきである」
さて、皆さんの事業所のセクシュアルハラスメントの相談窓口は適正に機能しているでしょうか。
セクシュアルハラスメントやパワー・ハラスメントを受けたり、見聞きした時に、安心して相談ができる体制になっているでしょうか。
男女雇用機会均等法が2007年4月に改正されてから、セクシュアルハラスメントに対する対応は事業主の措置義務となりました。
それを受けて、多くの事業所で相談窓口が設置されてきました。が、そこで相談を受ける相談員の研修が追い付かず、「相談を受ける自信がない」という相談員の悩みをよく耳にします。
同時に、それは「安心して相談ができない」という従業員の悩みでもあるわけです。
相談員にはセクシュアルハラスメントの正しい知識はもちろんのこと、「傾聴」を初めとする「相談を受ける」ための専門的なスキルが必要です。
それらは「相談員研修」を1回受けただけで、身に付くものではありません。継続的な学習とトレーニングが必要です。
皆さんの事業所でも、従業員・管理職に対するセクシュアルハラスメント研修だけでなく、ぜひとも相談員研修にもきちんと取り組んでいく体制を整えていただきたいと思います。
「当社では、セクシュアルハラスメントの相談が1件もないのです」と、担当者が誇らしげにおっしゃる時があります。でも、「相談がない イコール セクシュアルハラスメントがない」というわけでは決してないのです。
それは「安心して相談ができる窓口」と従業員が感じていないのかもしれないのですから。
アトリエエムでは、外部機関として相談を受けたり、相談員セミナーを実施したりしています。お気軽にお問い合わせください。
ユニバーサルデザイン(日本語字幕付DVD)
アトリエエムが職場研修用として製作したDVD『パワー・ハラスメント そのときあなたは・・・』の日本語字幕付DVDを今年1月から販売しています。
ユニバーサルデザインの一環として製作しましたが、販売と同時にご注文を続々といただき、皆さんが待ち望んでおられたのだと実感した1か月でもありました。
解説やナレーションなど全編にわたって、日本語の字幕をつけています。図書館や男女共同参画センター、人権センターなどの公共施設等からご注文をいただくことが多く、市民の方に広くご利用いただけることを嬉しく思っています。
また同時に、「VHS(ビデオ)の字幕付」と「VHS(ビデオ)の字幕無」も販売しています。
こちらもご注文をたくさんいただいています。DVDが随分普及してきたとはいえ、まだまだVHSを利用されている事業所も多いようです。
ユニバーサルデザインは「できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザインにすること」を基本コンセプトとしています。
より多くの方にパワー・ハラスメントの実態を知っていただき、ハラスメントのない職場環境づくりに活用していただきたいと思っています。
詳細はアトリエエムのホームページの「販売物」のページをご覧ください。
あの日から14回目の朝
ドスン!と私は突き上げられるような衝撃で目が覚めました。あの日、14年前の5:46。とっさに傍らに眠っていた子どもたち(当時8歳と4歳)の頭から布団をかぶせて、抱きかかえながら、早くおさまるのをひたらすら願っていました。
とてつもなく長い長い時間のように感じた1分間。ようやく揺れがおさまり、あたりを見回すと、物が散乱、食器が割れて、と家の中は驚くような状態になっていました。
とりあえずテレビをつけたものの、まだ何も詳しい様子はわからず・・・でも、その後、徐々に報道された神戸の様子は俄かには信じられない惨状ばかりでした。
当時、私が住んでいた吹田市は震度5。震度7強の揺れはどんなに恐ろしかったことでしょう。家屋が潰され、本当に一瞬にして、人生半ばで道を断たれた方たちの無念さを思うと胸が苦しくなります。
あの日から安全やボランティアに対する私たちの認識は大きく変わりました。現在自主防災の組織率は全国で約7割、でも、認知度はまだまだ低く、課題も山積です。
あまりにも大きな犠牲を払って阪神大震災が私たちに残してくれた教訓を考えながら、今日1月17日を過ごしたいと思います。
戎さん
1月10日は大阪市内の会社で、パワー・ハラスメントセミナー(団体研修)をさせていただきました。
その後、今宮戎へお参りに。参道も境内も商売繁盛を願うたくさんの人たちであふれ返っていました。戎さん(えべっさん)にはよくお参りに行くのですが、今年は不況を反映してか、こころなしか皆さんの顔も曇っているようにみえました。
近畿2府4県内の2008年の年間倒産件数(負債1,000万円以上、法的整理のみ)は、前年比10.3%増の3,284件と過去最多となりました。(帝国データバンク大阪支社、1月9日発表)今年は少しでも景気回復を望みたいものです。
大阪はまさに「商売の町」。大きな企業はもちろんのこと、たくさんの中小・零細企業があります。大企業からの下請け、孫請けの企業が多いのですが、今いとも簡単に受注を減らされて、経営に四苦八苦している会社がたくさんあります。
パワー・ハラスメントの「パワー」という言葉はもちろん「力」という意味もありますが、もう一つの意味として「権力」という意味もあります。従業員にとって、管理職は大きな「権力」となります。同様に、下請け企業にとっては、発注元である大企業は、やはり大きな権力となるのです。
急激で理不尽な発注減も、まさにパワー・ハラスメントといえるものなのです。