今日から 「過労死防止法」 が施行11月12日に兵庫労働局主催のシンポで講演をします

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国の責任で過労死を防ぐ「過労死等防止対策推進法」(過労死防止法)が、今日11月1日に施行され、初の「過労死等防止啓発月間」がスタートしました。
各地の労働局や弁護士会などでも無料の電話相談を受け付けていました。

日本の過労死は、国際社会でもかねてから問題視されてきました。
「karoshi」としてオックスフォード英語辞典にも掲載され、国連からも過労死防止策を強化するようにと勧告も出されていました。
長年の過労死遺族の方たちの運動等によって、6月に超党派の議員立法として成立、国としての取り組みがようやく始まりました。

この法律では、過労死の実態の調査研究、相談体制の整備、民間団体の活動支援、国民への啓発などの対策を国の責任で行うと定められていますが、長時間労働の規制のあり方には触れてはいません。
過労死等の最も大きな原因である「過重労働」「長時間労働」をどのように防いでいくかということを、具体的に明記し、企業でのルールづくりを促していくことが本来必要ではないでしょうか。

企業は、法律で義務化はされていなくても、労働者の生命と健康を守るためにより具体的な取り組みを今後進めていくことが重要でしょう。
兵庫労働局では、11月12日(水)の午後に「過労死防止シンポジウム」を開催します。
私もシンポジストの一人として「過労死の防止に向けて企業が行うべき対策」について講演をします。
ぜひ今後の取り組みの参考にしていただきたいと思います。

◆シンポジウムのチラシは「141112symposium.pdf」をダウンロード

◆シンポジウムの紹介記事(神戸新聞)は「141101kobe-shinbun.pdf」をダウンロード

◆過労死防止法の詳細はこちら>>>

妊娠による降格は、原則均等法違反出産後も働き続けられる「職場環境整備」が必要

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最高裁は10月23日に「妊娠・出産を理由にした降格は、原則として男女雇用機会均等法が禁じる不利益処分にあたり違法」とする判断を初めて示しました。一部例外が認められる部分を残したものの、納得できる判決だとは思います。
しかし、現実はどうでしょうか。連合の調査によると、会社から退職を強要される、上司や同僚から嫌がらせを受けるなどの「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」を受けたことがある女性は、26.3%と4人に1人。全国の労働局に寄せられたマタハラの相談も2013年度は3,371件と前年度より2割増えています。いずれも氷山の一角でしかありません。8割の女性が育児休業を取得していると発表されていますが、実際には妊娠をきっかけに6割の女性が退職をしています。

「出産・育児をしながら働き続ける」という多くの先進国では当たり前のことが、できない状況がずっと続いてきました。

企業は、今回の最高裁の判決を重く受け止めることが大事だと思います。妊娠・出産後も働き続けることを望む女性は今後益々増えていくでしょう。そのためには職場の理解や協力は不可欠ですが、一方で周囲の一部の人に過重な負担がかからないようにすることも大切です。個人の意識だけによるのではなく、女性たちがしっかりと活躍できるように組織として「職場環境」を工夫し整えていくことが、必要ではないでしょうか。

「ハラスメント投書箱」 を開設しました!「声なき声」 を受けとめて、皆さんの思いを反映していきます。

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私のもとには、ハラスメントの様々な悩みや相談が数多く寄せられます。
例えば

◆スーパーで働いています。女性の店長からいつも「パートのおばさん」と呼ばれています。他の若い社員には「○○さん」と苗字で呼んで楽しそうに話しをしているのに・・・私が少しでもミスをしようものなら「チッ!」と大きな舌打ちをして「何度言ったらわかるの!」と皆に聞こえるような大きな声で怒ります。
店長の怒鳴り声を聞くたびに、全身が硬直したように体が動かなくなり、胃がキリキリと痛み出します。

◆企業のCSR部でハラスメントの相談員をしています。半年前にAさん(男性社員)から、上司のB課長からパワハラを受けている、という相談が寄せられました。最近は食欲もなく3か月で体重が10キロも減ったとのこと。周囲の人達に職場の状況を確認すると相当ひどいいじめを受けていることが分かりました。
CSR部で検討してBさんを主任に降格したところ「お前と会社を訴えてやる!」と言われました。

◆大学で事務の仕事をしています。ある教授(男性)の女子学生に対する態度がとても気になっています。特定の女子学生と頻繁に食事やカラオケに行ったり、肩を組んで写真を撮ったり、自分の研究室で夜遅くまで指導をしたりしています。「それはセクハラでしょう」と思うのですがそんな事は私の立場ではとても言えません。
他の学生からも不満の声が聞こえてきますが、他の教授たちもみんな見て見ぬふりです。

などです。
このような辛い気持ちや悩み、困っている状況などをそのままアトリエエムの「ハラスメント投書箱」に投げ込んでください。
匿名で結構です。プライバシーは必ず守ります。
直接お返事はお送りしませんが何卒ご了承ください。

皆さんの「声なき声」をしっかりと受け止め大事にして、今後のハラスメント防止の取り組みに皆さんの思いを反映していきたいと思います。
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<投書方法>
以下のいずれかの方法で投書してください。

1、アトリエエムのホームページのトップページの「ハラスメント投書箱」 のバナーをクリック
⇒ メールフォームから送信ができます。
アトリエエムには、送信者のメールアドレスがわからないので、匿名での送信が可能です。
※本文の入力は512字までです。

2、「ハラスメント投書箱」 専用のメールアドレス
  tousho-box@atelierm.co.jp にメールをお送りください。
(@は半角の@に変更してご送信してください)

詳細はこちら>>>

「マドンナ旋風」から四半世紀。変わっていない日本の状況

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「おたかさん」こと土井たか子さんが亡くなりました。
初の女性党首、初の衆議院議長、そしてマドンナ旋風。男女差別の解消と平和運動に常にまっしぐらに取り組んでおられた姿が脳裏に浮かびます。
「山が動いた」との言葉も与謝野晶子の「山の動き日来(きた)る」を彷彿とさせ、これからはもっと女性が活躍できる時代になる、と大きな期待を持ったものでした。

それから四半世紀。マドンナ旋風も単なるブームでしかなかったのでしょうか。残念ながら現状は、一向に前進してはいません。
衆議院議員480人中、女性は39人で8%。これは世界平均の22.2%を大きく下回り、189カ国中127位です。世界経済フォーラムが発表した「男女平等ランキング」も日本は105位と、女性の政治参加の遅れが大きく影響しています。

女性を活用するのではなく 女性がしっかりと自立して活動できる社会にすることが大事ではないでしょうか。

なごやかながらも実り多いセミナーになりました「ハラスメント相談員セミナーを各地で開催してほしい」という声も

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うなずきながら熱心にメモを取る人、一言も聞き漏らすまいとじっと聴き入る人。
9月12日(金)の「三木啓子のハラスメント相談員セミナーvol.10」には、東京の方だけでなく、沖縄、広島、山形など遠方からも参加、ロールプレイにも熱心に取り組んでくださいました。
「ハラスメント 相談員の心得」をサブテキストに相談対応や新しい判例の解説、防止対策などについて具体的にお伝えしましたが、随所で具体的な質問も活発に出されました。
コーヒーブレイクでは、参加者同士が名刺交換や情報交換などもされていて、なごやかな雰囲気ながらも実り多いセミナーとなりました。

来年2月の大阪でのセミナーには、他の担当者をぜひ参加させたい、というお声もいただきました。
今後もハラスメント相談員の育成に取り組んでいきたいと思います。
皆さんのアンケートの一部をご紹介します。
● 今回初めてセミナーに参加しました。相談員の重要性を改めて認識しました。自分ではできていると思っていた事ができていないと認識できる良い機会となりました。
● ガイドライン作成のポイント等を具体的にイメージをすることができました。セクハラ、パワハラの相談は年々増えています。今日のセミナーやDVDを参考にして相談員を増やしていきます。
● レジュメ、資料が大変見やすく復習するのにもとても役立つと思います。三木さんの講義もとても説得力のあるものでした。
● ロールプレイは難しかったけれども、楽しんで参加することができました。
● セミナーに参加する前はとても難しいと思っていたのですが、相談業務を前向きにとらえることができました。

海上自衛隊でパワハラ自殺相談を放置していた組織の責任は甚大です

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組織ぐるみでのいじめの隠ぺいに対して、厳しい判決が5月に出されたばかりの海上自衛隊で、またしても痛ましい事件が明らかになりました。
横須賀基地の護衛艦内で、上司からパワハラを受けて男性隊員が自ら命を絶ちました。
隊員はいじめを受けていること、異動をさせて欲しいことなどを3回にわたって別の上司に相談をしていましたが、対応や改善がなされませんでした。
自殺の前日には、相談の場にパワハラをしている上司を同席させています。そのような状況では本音は話せないでしょう。その直後、報復のようにさらにパワハラを受け、隊員は追い詰められていきました。大勢の他の隊員もパワハラを知りながら、誰も止めることができなかったという事も明らかになりました。
自衛隊という特殊な組織とはいえ、周囲が知っていながら防ぐことができなかったことは、深刻に受け止めなければならないでしょう。

直接的には、1人の上司によるパワハラかもしれませんが、何度もシグナルを出していたのに、最悪の事態を防げなかった他の上司と組織の責任は甚大です。
当事者たちを処分するだけではなく、なぜ防げなかったのか、どのように対応するべきだったのかを真摯に検証し、再発防止のための具体的な取り組みを早急に公表するべきだと思います。

男性に対しても立場を利用した性的な言動はセクハラです

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フィギュアスケートの高橋大輔選手が、2月のソチオリンピック閉会式後の打ち上げ会場で、橋本聖子参議員から無理にキスをされたということが、8月末に報じられました。橋本議員は、日本スケート連盟会長で、JOC常務理事兼強化本部長という立場です。
この件に関して
橋本議員は「強制はしていない」
高橋選手は「セクハラを受けたという認識はない」
鈴木惠一スケート連盟副会長は「(高橋選手は)男だからセクハラにはあたらない」
とのコメント。

例えば、浅田真央選手が男性の協会理事からキスをされたらどうでしょうか。明らかにセクハラであり、パワハラでもあると言えるでしょう。しかし、キスをされた本人はセクハラを受けた、とはなかなか言えないのが現状です。
女性、男性という性別で考えるのではなく、双方の力関係や立場の違いを正しく認識することが必要でしょう。

スケート連盟はこの件をうやむやにするのはなく、ハラスメント(セクハラであり、パワハラでもある)に対して、早急に対応をするべきだと思います。

「セクハラ・プリベント」 をリニューアル!ひとりに1冊、研修・学習会にご活用ください。

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今年の7月1日に男女雇用機会均等法が改正、セクハラ指針は4項目が追加されました。事業主の措置義務も9項目から10項目になりました。
企業においては、自社のガイドライン(防止指針)を見直すと同時に、今まで以上に研修にもしっかりと取り組むことが重要となりました。

均等法の改正に伴ってアトリエエムのポケット冊子「セクハラ・プリベント」の改訂版を発行しました。新たに指針に追加された4項目を掲載、より読みやすくなるようにデザインもリニューアル。
基礎的なポイントを押さえたうえで「グレーゾーン」「ジェンダー・ハラスメント」と言われる領域にも踏み込んだ解説は、とてもわかりやすいと好評です。セクハラを受けたときの対処法や相談を受けたときのセカンドハラスメント(二次被害)の防止など、誰にとっても身近な問題として考えることができるように工夫をしています。
初めて学ぶ方はもちろん「何度も聞いてわかっているよ」という方にも新たな気づきが得られる冊子です。
ひとりに1冊。 「セクハラ・プリベント」を研修や学習会でぜひご活用ください!
「セクハラ・プリベント」
1冊100円 (税・送料別)(B7判変形/32頁)
ご注文は50冊以上10冊単位でお願いします。
「ここが知りたかった!ハラスメントQ&A」「みんな、まじめに楽しく働きたい」と合わせて50冊でもOKです。

「セクハラ・プリベント」の詳細はこちら>>>

残暑お見舞い申しあげます。

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私はセミナー(研修や講演会等)で、近畿地方のみならず、関東・北陸から九州地方まで全国にお伺いしています。
今年の夏は特に、台風や集中豪雨による被害が各地で相次いでいます。お世話になった皆さんの事を考えると本当に胸が痛みます。少しでも被害が少ないようにと心から願ってやみません。

年に3回開催している「三木啓子のハラスメント相談員セミナー」にも、北海道から沖縄まで、多種多様な方達が参加してくださいます。
企業や行政機関の人事、CSR、相談員の方はもちろんのこと、学校の教職員や労働組合の方、NPOやボランティア団体で被害者の支援をしている方、産業カウンセラーや社会保険労務士、男女共同参画センターのスタッフ等々。相談員セミナーは、知識を習得するだけの場ではなく、情報交換やネットワークを築く良い機会にもなっています。

9月12日(金)のセミナーは、東京で開催します。
セクハラ防止指針等を含む男女雇用機会均等法と労働安全衛生法が、今年7月に一部改正されました。今まで以上にハラスメントとメンタルヘルス対策に取り組むことが求められるようになりました。今回のセミナーでは、相談対応から防止対策まで、大事なポイントをロールプレイを交えて具体的にお伝えします。
お早目にお申込みください。

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企業に求められるハラスメント予防策
「三木啓子のハラスメント相談員セミナー vol.10 ~相談対応と防止対策~」
【メンタルヘルス対策はハラスメントの防止から】

●日時: 2014年9月12日(金)13:00~17:00
●会場: アーバンネット神田カンファレンス(東京都千代田区内神田3-6-2)
●講師: 三木 啓子(アトリエエム(株)代表、産業カウンセラー)
●対象: ハラスメント相談員、CSR担当者、人事・総務担当者、人権担当者等
●定員: 30人(先着順)
●参加費: 12,000円(資料代、税込)
●主催: アトリエエム株式会社

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「心の病」 労災申請が過去最多背景には職場の人間関係の悪化

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パワハラや長時間労働などでうつ病などの精神疾患にかかって、労災の申請をした人は1,409人(2013年度)。これは過去最多で、厚生労働省が公表を始めた2001年度と比較すると5倍以上に増えています。
そのうち、労災だと認定された人は436人、昨年より若干減少したものの、過去2番目の多さです。

原因で一番多いのは「嫌がらせやいじめ」で55人です。他にも「上司、同僚、部下とのトラブル」が23人、「セクシュアルハラスメント」が28人で合計106人となり、認定数の4分の1を占めます。
職場での人間関係の悪化が、メンタルヘルス不調の大きな要因になっていることが明らかになりました。
この発表に外国人労働者も危惧をしている、ということが報道されました。現在日本で働く外国人労働者は約72万人。国は、これから受け入れを益々増やそうとしているようですが、果たして安心して働ける職場環境だと胸を張って言えるのでしょうか。
さらには「残業代ゼロ法」の導入も検討されています。
全ての労働者が、健康で働ける職場環境を整えることがまずは重要だと思います。

平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」はこちら>>>