パワハラ防止指針
労政審で決定

パワハラ防止の指針が厚労省の労政審(労働政策審議会)で決定されました。
このブログでもお伝えしていましたが、パブコメの募集期間-12月20日までの1か月の間に寄せられた意見は、1,139件。

寄せられたコメントのほとんどは、指針に否定的で修正を求めるものでした。
私も「パワハラに該当しない例を全て削除すること」「フリーランスや就職活動中の学生に対するセクハラの防止も事業主の措置義務とすること」などのコメントを送りました。

しかしながら、指針(案)から全く修正されることなく労政審で指針が決定しました。
厚労省に確認すると、今後この労政審の決定を尊重して、1月中旬に正式に指針を発表するとのこと。

しかしこの指針で本当にハラスメントの防止につながるのか、はなはだ疑問です。もちろん何ら規制がなかったことから考えると、一歩、いえ半歩前進とはいえるでしょうが。

トヨタ自動車でも三菱電機グループでも、電通でも変わらずパワハラ、長時間労働が続いています。これらの企業でも社内のハラスメントのガイドライン(防止指針)があることでしょう。しかし悲劇は一向になくなってはいません。

各企業では、厚労省の指針を上回るより本当に実効性の高いガイドラインを作ることが必要です。
大企業は、6月1日から法律が施行されます。この機会にぜひ見直しをしてほしいと思います。

指針の詳細(第24回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の資料)はこちら>>>

伊藤詩織さんの民事裁判
合意のない性行為と認定

望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の山口敬之さんに1,100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が、12月18日(水)にありました。
東京地裁は、伊藤さんの訴えを認めて山口さんに330万円の支払いを命じました。
また、山口さんは伊藤さんに記者会見や著書等で名誉を傷つけられたとして1億3,000万円を求めて反訴していましたが、名誉棄損には当たらないとして、請求は棄却されました。

伊藤さんが被害を訴えたのとほぼ同じ時期にアメリカで「#Me Too」キャンペーンが始まりました。日本でも財務省のセクハラ問題が発覚しました。今春の性暴力に対する無罪判決が4件相次いだことから「フラワーデモ」が毎月11日に開かれるようになり、12月には全国で30か所に達しました。

性被害を訴えるのは心身共に本当に大きな負担が伴います。公表と同時にネットやあらゆる手段でのバッシングやセカンドハラスメントを受けることがほとんどです。伊藤さんもひどいバッシングを受けて、日本での活動を一時断念せざるを得ませんでした。

この判決を機に、法律、報道のあり方、教育等を変えていくことが大切だと思います。

先日、伊藤詩織さんと「#Ku Too」運動を展開しているグラビア俳優の石川優実さんの対談のイベントに参加しました。二人は「ハラスメントを見聞きしたときには、傍観者にならず介入しようとすることが大事」「暖かい声を広げることが大切」と、穏やかに話されていました。まさにその通りだと思います。被害者へのバッシングやセカンドハラスメントは、加害者に加担することにほかならないと思います。

121位-ジェンダーギャップ指数
日本の「男尊女卑」の風潮は変わらず!?

スイスの国際機関「世界経済フォーラム」が各国の男女格差について調査をした結果を発表しました。
日本は153か国中、121位!
これは過去最低の順位です。G7での最下位は毎年のこと、昨年の110位よりも11位順位を下げました。
指数は政治、経済、教育、健康の4つの分野で女性の地位を分析し、総合順位を決めていますが、日本は特に政治と経済分野での男女格差が大きいのです。

政治は、144位、経済は115位。女性の管理職やリーダーの少なさ、低収入等が響いています。

誰の意識にもあからさまな「女性差別」というものはもしかするとないのかもしれません。
しかしながら「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」というものがまだまだあるのではないでしょうか。
現在、企業に占める女性の割合は、部長級で6.3%、課長級で10.9%です。
10人の男性の中に女性が1人いれば「お人形扱い」、2人いれば「仲たがいさせられる」、3人いて初めて「自分」になれる、という言葉もあります。
3割に達すれば組織は確実に変わっていきます。
セクハラ、マタハラ等の主に女性が被害を受けているハラスメントを防止することにもつながります。

まずは、職場におけるアンコンシャス・バイアスを払拭して、男女格差をなくすことが求められると思います。もちろんこれは、男性だけでなく、女性の意識も変えなくてはならないと思います。

*ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Repor)の詳細はこちら>>>

パワハラ防止指針(案)に意見送付を
厚労省がパブコメ募集中

現在、厚生労働省の労働政策審議会で「女性活躍・ハラスメント規制法」の指針が審議されています。

先日指針(案)が公表されました。
それに対するパブコメ(パブリックコメント)を募集しています。
私たち国民の意見を反映させる最後の機会となります。
働いている人にとって、本当により良い指針にするために、多くの人が意見を送ることが大切です。

●期日 2019年11月21日(木)~2019年12月20日(金)
●パワーハラスメント指針(案)についてはこちら>>>
●セクシュアルハラスメント指針(案)、マタニティハラスメント指針(案)等についてはこちら>>>

パワハラ防止 大企業は20年6月1日
中小企業は22年4月1日から義務化

厚生労働省は、10月28日(月)の労働政策審議会で、女性活躍・ハラスメント規制法を施行する日程案を示しました。
パワハラの防止は、大企業で2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から、それぞれ義務化されます。厚労省が今後政令を定める予定です。

現在、労政審ではパワハラに該当する行為の具体例などを盛り込んだ指針を検討しています。
が、10月29日付けのブログでもお伝えしたように、指針素案は非常にひどい内容です。

今後の労政審の動きに、皆で注目していくことが必要です。

ハラスメント防止の指針素案
附帯決議の尊重を!

職場のハラスメント対策の強化を目的として「女性活躍・ハラスメント規制法」が、5月29日に改正・成立しました。
現在、厚生労働省の労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)で指針の内容について審議されています。年末までにはとりまとめて公表される予定です。

が、先日10月21日(月)に厚労省から示された「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」(指針素案)が非常にひどい内容で、とても驚いています。

まず、パワハラの定義をとてもとても狭いものにしています。
またフリーランスや就職活動中の学生へのセクハラは、防止対策を企業の義務とはせず、「必要な注意を払うよう配慮」を求めることにとどめています。
カスタマーハラスメントや性的指向・性自認の望まぬ暴露(アウティング)についても、雇用管理上の取り組みについて言及はしていますが、非常に限定的、わかりにくい内容となっています。

何よりも法改正にあたっては、国会で様々な審議が行われ、衆議院・参議院の両院で附帯決議が付されました。この付帯決議は、与野党一致で決議されたもので、尊重されるべきものです。が、指針素案ではきちんと反映されてはいません。
例えばパワハラの判断に際しては「平均的な労働者の感じ方」を基準としつつ「労働者の主観」にも配慮すること、とされていますが、指針素案では「労働者の主観」は排除されています。

この指針素案では、対象となるパワハラの範囲を非常に狭く捉えて、使用者・労働者双方にとってかえって混乱を招き、パワハラを防止する実効性のあるものには全くなってはいません。

アトリエエムは、重大な問題のある指針の策定に強く反対し、抜本的な修正を速やかに講じるように求めます。

講義とロールプレイで
より理解を深めたセミナーに

10月18日(金)のアトリエエムのセミナー「法律の改正に向けて~ハラスメントの対応と防止対策~」には、今回も各地から多くの方が参加してくださいました。

まず弁護士の中村衣里さんから今春成立した、パワハラの防止を企業に義務付ける「労働施策総合推進法」等の法律と指針、さらにはILO(国際労働機関)で採択された条約等について、とてもわかりやすく解説していただきました。

午後からは三木から相談対応とロールプレイ、そして行為者ヒアリングの対応とロールプレイ、さらに防止対策等について具体的にお伝えしました。
随時参加者から質問も活発に出されて、とても実践的なセミナーとなりました。

<参加者のアンケートの一部をご紹介します>
◆パワハラ防止の法律ができたとはいえ、1つの法律ではないのでわかりにくかったのですが、中村さんがポイントを絞って解説してくださったので、かなり理解できました。
◆法律の改正の講義は、法的な側面から意義あるものでした。法務部の大切さを痛感しました。
◆事例、裁判例、ロールプレイ等で理解を深めることができました。
◆相談員という立場(役割)を与えられて2年半ほど経ちますが、相談員としての能力向上(スキルアップ)の機会は初めてでした。非常に有意義で、明日から実践しようと思います。
◆従業員の少ない会社であまり「ハラスメント」が表立ってなかったのですが、最近あった事例の際に対応に困りました。やはりこのようなセミナーを受けて、組織としての準備対応マニュアルが必要であると感じました。
◆ハラスメントの相談を受ける側としてどう対応するのか、ポイントがわかりやすく学べた。
◆気づかされることが多かった。行為者へのヒアリングが難しかった。いずれにしても、傷つく誰かがいる。ハラスメントが起こらない環境づくりが1番大切と思った。

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今後もあらゆるハラスメントの防止にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

「沖縄・辺野古 2019年2月25日」西宮で写真展

2019年2月24日-この日を覚えておられますか。

沖縄県で、「名護市辺野古の米軍基地建設に必要な埋め立てに対する賛否を問う」県民投票が行われた日です。

反対が40万票を上回り、投票総数の7割を超えました。
この写真展はその翌日からの数日間、辺野古や普天間等を捉えた鵜久森典妙さんの写真展です。
壁面いっぱいに展示された写真を見て、何を思い、感じるでしょうか。

ぜひ一度のぞきに行ってください。

鵜久森典妙写真展
「沖縄・辺野古 2019年2月25日」

【とき】 
10月9日(水)~10月29日(火)10:00~17:00(平日のみ)
*土日祝はお休み
*最終日は16時まで
【ところ】
西宮ギャラリー手作りの店サヤ
兵庫県西宮市今津山中町7-22
TEL 0798-34-2039
【アクセス】
阪神久寿川駅北出口徒歩3分(一つ目の信号を左へすぐ)
阪急、阪神今津駅より東へ徒歩8分

*特別上映「ドキュメント沖縄戦」を10月19日(土)11時~上映

*「沖縄・辺野古」の案内チラシはこちら>>>
*写真展を紹介した神戸新聞(10/10)はこちら>>>

アトリエエムの
ハラスメントセミナーに参加しませんか!

ぜひ知っておいて欲しい内容
定期的に実施している「アトリエエムのハラスメントセミナー」は、いつもとても好評です。特に今回は6月に公布された「女性活躍推進法」「労働施策総合推進法」などの5本の法律、附帯決議、指針について「特別講義」として弁護士の中村衣里さんからわかりやすく解説していただきます。

パワハラ防止に取り組むことを義務づける法律が、来年4月から施行される見込みです。LGBTの人たちに対するハラスメント、性的指向・性自認の望まぬ暴露「アウティング」も事業主の雇用管理上の措置になります。「カスタマーハラスメント」への対応やセクハラ防止策の強化等も盛り込まれる予定です。
 
非常に重要な法律が施行される予定です。職場の担当者にはぜひ知っておいて欲しい内容です。

「防止」と「対応」は「車の両輪」
午後からは、三木からハラスメントの相談対応、行為者ヒアリング、防止対策などについて、ロールプレイを通して具体的にお伝えします。ハラスメントの取り組みで重要なのは、「防止」と「対応」です。まさに「車の両輪」と言ってもいいでしょう。

法律の改正後には、職場でのパワハラ、セクハラなどの相談がますます増えると予想されます。その時にいかに適切に迅速に対応するかが、組織として問われてきます。

ロールプレイは2人1組で
相談対応について解説した後に、2人1組になっていただき、相談員役、相談者役になってアトリエエムが準備したシナリオに沿って、相談対応のロールプレイをしていただきます。

 
このロールプレイはとても重要です。相談対応を実際にしていただくことで、わかっていたつもりの相談対応が難しく感じることもあるでしょうが、同時に自信をつけていただくことにもつながっていきます。相談員の方にはぜひ自信を持って相談対応にあたっていただきたいと思います。

適切な行為者ヒアリングとは
続いて「行為者ヒアリング」です。相談者から相談をうけた「相手方」に事実の確認をする事が必要です。糾弾したり問い詰めたりしているだけでは、適切な対応とはいえないでしょう。注意点をお伝えしながら、実際に行為者ヒアリングのロールプレイをしていただきます。

 
最後に防止対策について、ガイドライン作成のポイントや裁判例などについてお伝えします。
 
楽しく学べるセミナーです。ぜひご参加ください

セミナーのチラシ(お申込書付き)はこちら>>>

詳細はこちら>>>

#KuToo

日本語の「靴(くつ)」と「苦痛(くつう)」をかけて、英語の#MeTooをなぞらえた言葉、#KuToo(クツー)。

日本の職場で女性がハイヒールやパンプスの着用を義務づけられていることに抗議する社会運動です。
6月3日には1万8000を超す署名を集めて厚労省に提出しました。6月5日には、根本厚労相が国会で、この問題についての尾辻かな子議員の質問に、玉虫色の答弁で答えています。

またこの運動は同時に「女性にのみヒールのある靴を強制するのは性差別。雇用主には、強制をやめさせてください」と、女性差別でもあるとも言っています。

まさにその通りだと思います。しかし、経団連での各社社長の意見は、様々です。

女性差別という観点からも、ダイバーシティの観点からも、自分たちの足元を今一度見直してみる必要があると思います。